スペイン語の詩を暗記する
天本英世のスペイン巡礼とスペイン回想の2冊を読んだ。
本が発行されたのが80年、82年で死神博士で知れ渡っているようなことが書かれているけれど私の世代では90年代の平成教育委員会で知っている人が多いと思います。
この本を知ったきっかけは、以前日記に書いた「ジブリとゴヤ」で堀田善衛の本を買い漁っていたらamazonからレコメンドされた為です。
調べてみると滅茶苦茶スペインが大好きな人で驚きました。
本の内容はスペインを7ヶ月かけて旅をしたことが書かれていて、まるで大学生の旅行のような徒歩の量と交通手段(基本的にバスと汽車)で巡礼していくタフなエッセイです。
今の大学生ならスペイン旅行といってもお金の都合などで滞在期間は1週間~2週間が多いのかなと思いますが、それを7ヶ月続けているところがやはり巡礼というタイトル通りだと思います。
内容は多岐に渡っていて、ジャック白井さんのこと、バスク紛争の様子、ミハスがタホス村という名前で日本に紹介され始めたことなど旅行記として物凄い内容の濃さでした。(30数年経ちましたが未だにミハスは日本人観光客に人気ですね。)
詩とフラメンコについて
学びたい言語があればその詩を丸暗記するというアドバイスを何度か見かけたことがあります。
面白いことに言語的な才能のある人が言っている事が多く、丸暗記と言うのは意味が分からなくても良いから暗記するという意味です。
そこで私も真似してみようと詩人を検索し、恐らく一番有名であろうロルカを見つけました。
詩の暗記なので延々と念仏のように口に出して暗記していたのですが、この本では詩にギター演奏を付けて歌うというので全くイメージ出来なくて困惑しました。
私は文学知識が小学生並なので、朗読はありえても演奏付きで歌に近いような詩の読み方をどうしていいのか分からず例によってyoutubeで探してみました。
上のリンクと同じ「Verde que te quiero verde」と言う詩も恐らく本で書かれていたのは下のリンクのような雰囲気だったのかなと想像します。
「スペイン巡礼」は兎に角フラメンコの踊り手や唄い手、詩人の名前が大量に出てきて旅行記として読みたかった自分は最初に読んだときこの本の面白さを半分ぐらいしか理解していなかったと思います。
そこで再度、詩人に絞って書かれてある箇所を読み直すと実は69pに殆ど纏めて書かれていて、
「ガルシア・ロルカ」、「ロサリア・デ・カストロ」、「フアン・ラモン・ヒメネス」、「ラファエル・アルベルティ」、「アントニオ・マチャード」、「ミゲル・エルナンデス」、「パブロネルーダ」(78p)の7人が主な登場人物です。
その中でもロルカは特別で、沢山の詩が出てきます。ロルカの詩を知っていると本に書かれてある旅先でのストーリーが不思議と音つきで楽しめるようになるかと思うので以下にピックアップします。
La Gitarra (Federico García Lorca 巡礼67p 回想143p):https://youtube/JmO4loi4LoI (日本語朗読 https://youtube/_imNX0YtOsE)
anda jaleo (Federico García Lorca 巡礼98p) : https://www.youtube.com/watch?v=kcexu5LSM_E
Despedida (Federico García Lorca 巡礼132p):https://www.youtube.com/watch?v=C1iO27rSLVQ
Memento (Federico García Lorca 巡礼132p):https://youtube/pLNhyz4BDbY
Reyerta (Federico García Lorca 巡礼70p/138p):https://youtube/bMTKS_TsCwg
Las morillas de Jaén (Federico García Lorca 巡礼143p): https://youtube/YhztPVeXZZ4
La casada infiel (Federico García Lorca 巡礼167p):https://www.youtube.com/watch?v=8ZIxkWDzHlM
Baladilla de lo tres ríos (Federico García Lorca 巡礼167p/回想149p):https://www.youtube.com/watch?v=-e17bhcPET8
Romance de la Luna Luna (Federico García Lorca 巡礼169p):https://youtube/GbIU84PA0uE
Balcón (Federico García Lorca 回想146p):https://www.youtube.com/watch?v=gBhlcvMR9rg
Seata (Federico García Lorca 回想146p):3:26~ https://youtube/xnW8J0lL67o?t=206
Canción del Jinete (Federico García Lorca 回想156p):https://youtube/AY7t6pxpdaE
La Cogida y la Muerte (Federico García Lorca 回想159p):https://youtu.be/8xceIzwmIWU
Llego Con Tres Heridas (Miguel Hernandez 巡礼79p):https://youtube/9finRv-HCeE
Campos de Soria (Antonio Machado 巡礼233p):https://youtube/KxiOrdhBI-g (日本語解説 https://harutoshura.livedoor.blog/archives/28045475.html)
詩に負けずフラメンコについての話も沢山出てくるのですが、私にとっては詩とフラメンコは別枠で考えていたので「スペイン巡礼」を読んでる間は何故同列で出てくるのか分かりませんでした。
回答というか解説は「スペイン回想」の法政大学での講演内容にとても分かりやすく載っています。
或いは一言で言うとフラメンコは詩に節をつけて唄ったものが多いのだ。ということでメロディーが無いのが肝です。
音楽的により詳しい内容は「後藤晃のフラメンコギターブログ」さんのフラメンコ音楽論:https://flamenco.guitarblog.net/category/theory/
で詳細な解説があります。
日記のサムネイルは人種差別がスペインにもあることに気が付いた天本さんへ向けた、恐らく英語人の読者が感じた感想。
(古本の良い意味で面白いところかなと思います)
ロルカの詩を朗読する天本英世です。スペイン国内でロルカの詩はタブーとされていた時代、天本は、日本でロルカの詩を朗読し続けました。
— 愛書家日誌 (@aishokyo) June 5, 2021
📷天本英世記念館を作る会https://t.co/nNw0TRMt6C pic.twitter.com/eTqLNLiTLC