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スペイン語の接続法についての雑記

法って何?

中高生の英語の授業で直接法やら仮定法というものがあった。

法ってぐらいだから何か物凄くかっちりした定義で運用されているイメージがあったけれど、たまたま見ていたyoutubeでいきなりその概念が変わってしまった。

どうやら法というのはムード…気分とか雰囲気を指すらしい。

他の文法サイトを覗いても大体同じ事が書かれていて、硬めに言うと主観とか態度を表すための言い方であるようです。(英文法大全:https://www.eibunpou.net/10/front.html)

 

法は幾つあるの?

スペイン語には法が幾つあるのか気になったので、調べてみたら各自流派があって私のような素人ではどう結論づけたら良いのか分からない。

とりあえず調べた範囲で分類分けすると下記の通り。

 

・「直接法」「接続法」「命令法」「可能法」の4つ(スペイン語の勉強ブログ:https://spanish-lang.com/modo-tiempo/)

素人的には一番しっくりくる分類だと思う。

 

・「直接法」「接続法」「命令法」の3つ

和佐 敦子氏の認知言語学的観点からの接続法習得(*pdfリンク)というj-stageが公開している学術論文に記載されていた。

分類の提案者はJespersen氏で1924年発表。

 

・「直接法」「接続法」の2つ

スペイン語の名詞節における叙法選択 (*pdfリンク) という京都産業大学が公開している論集が検索に引っかかった。

過激なので学習者には受けまい…(学習者の為に言語学している訳ではないので当たり前だが)

 

まとめると直接法と接続法の2つの存在に異議のある説は無さそうで、可能法と命令法の2つについては諸説あるといったところです。

 

手始めに「可能法」について探してみると、神田外語大学が公開しているものの中にずばり説明されていた。

「可能法」から「直説法過去未来形」へ (*pdfリンク) 。 タイトルがずばり過ぎて読む気が減衰してしまった。

抜粋すると1917年のスペインのアカデミアで可能法を作って、その後1973年に直接法条件形になったそう。

ところで普通の意味の過去は数秒前、数分前、数年前と”時間的”に今と離れたことを指すけれど、文法的な過去は時間的な意味に加えて”状況・条件的”に今とかけ離れている場合も指すらしい。

冒頭のyoutubeチャンネルでも紹介されていたけれど、英語の仮定法で過去形を使うのはつまり今と”状況・条件”が離れているからだそう。

素直に考えると可能法が単に条件やら状況を指すなら直接法では無くて仮定法(接続法?)の部類に入りそうな気がするが、どうやら直接法がスペインの文法的には適切らしい。

法については分かったけれど、なんで過去未来形という命名なのか?については「スペイン語こばなし(8): 過去未来と条件法」で詳しく解説されている。

ざっくり言うと動詞の未来形は原形+”haber”の現在形活用語尾となっているのに対して、可能(conditional)は原形+”haber”の線過去活用語尾という形になっているのが過去未来形名前の由来。

 

では「命令法」は?と疑問が残るが、単純に命令形と扱われているものが大半で何故法で無いのか言及されている資料は見つけれらなかった。

上田博人氏のスペイン語の理由 (*pdfリンク) で一番近い部分を整理すると、

・スペイン語の命令形はラテン語をそのまま継承した。

・ラテン語の命令形は2人称(tú)に限り存在していた。

・その他の人称は接続法の意図「…が…でありますように(望む)」の望むの意味を取って代用出来た。

(ちなみに スペイン語ガイドブック 命令文 (*pdfリンク) という命令形に絞った説明も公開されていた。)

 

こうして調べていくと京都産業大論集にあったスペイン語には「直接法」と「接続法」の2つしかないという記載も何となく受け入れられる。

 

接続法について

命名の理由

自分の思っている気分を表す方法(言い方?)なのにどうして接続なんて単語をあてているのか?が素人的には最大の謎である。

先に紹介した上田博人氏のスペイン語の理由では

「接続法」はスペイン語の subjuntivo の訳語ですが、これは sub-(下に、従属して)+junct(繋げる)という意味です。従属文の中で用いられることが多いので、このような名前がついています。

とあった。

従属文でよく使われるから接続法としておいた程度の意味なのかもしれない…

 

結局どんな意味になるのか?

メジャーな解説としては、「現実と正反対」、「疑わしい」、「希望」、「含意」、「可能な状態」(https://www.enforex.com/japanese/language/spanish-subjunctive.html)など4~6個のジャンル分けがされている。

接続法を使おうと思った時に4個もパターンがあったら覚えられない。従って接続法の勉強はスペイン語を始めてこの方放置していた。

和佐 敦子氏の認知言語学的観点からの接続法習得 によると

1.自分の想像なので真偽判断出来ない場合

2.情報として伝えることが主眼ではない

(3. 真であっても認めたくない)

の3つぐらいにジャンル分け出来て、1と2で大体意味合いをカバー出来るそう。

あるいは、もう少し簡略に考えて不確かなこと一般をつまり和佐氏の1.が接続法の意図で、その他は歴史的な名残やら形式的なモノと考える余地もあるそう。

(スペイン語の接続法 原誠氏:http://sjsrom.ec-net.jp/studrom/025/studrom_025_012.pdf *pdfリンク)

 

 

日本語に無い概念を獲得するのは兎に角難儀なこった…

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