Diario

もし1語しかスペイン語を覚えられないなら迷わず…

1.トレドについて

スペイン旅行を考えたことがある人なら「もし1日しかスペイン にいられないのなら迷わずトレドへ行け」という旅行会社のキャッチフレーズを聞いた/見たことがあるのでは無いかと思います。

このフレーズのせい(?)で私もトレドへ無理して1日潰して観光をしたことがあります。

行ったことがある人なら分かってくれると思うのですが、あそこは知識が無いと何の感動もねっす。

最近になってまたスペインに行きたいなと思いながらカレルチャペックのスペイン旅行記を読んでいたら、彼もトレドへ行っていた。

スペイン旅行記 ーーカレル・チャペック旅行記コレクション【電子書籍】[ カレル・チャペック ]

私は貧乏なよくいる観光客らしくZocotrenにのって日本語ガイドを聴きながらトレドを一周して、昼飯を食べて散歩してお土産選んで帰るまで全くアラブな感じを受けなかった。

ところがチャペックのような知識人がトレドを訪れると、いちいち門なり柱なりがムーア人の作ったバグダットの香りがしたりプラテレスコ様式だったりマリアテレジア時代風だったりゴシックを感じたりと心が動いている。ちょっと情報量が多くてついていけない。

ジグザグに曲がったアラブ風小路で鉄格子の向こうにパティオを見たりしている。そんな感動はコルドバぐらい分かりやすい雰囲気でないとあの路地がアラブ風なんて全く思わなかった。

確かに見る目がある人からするとトレドは宝石のような街である種の歴史の実感があるのだなと推察できます。

 

一方で、そんな知識層がたった1日の旅行で何処に行けばいいのか…なんて忙しい事を考えだろうか。1日しかないなら行くの辞めるわと言いそう。

仮にどこへ行くのかを悩んだとしても、堀田善衛氏がゴヤで貴族から図書館の資料室への招待を辞退したように、トレドは見る場所が多くて1日で帰ってこれないから辞めるのではなかろーか?

このトレドフレーズは英語で「until you’ve seen Toledo, you have not seen Spain.」と言うそうな。

試しに旅行以外のサイトで使われているのを探したけれど

200 Quotes About Spain That Will Fuel Your Wanderlust

Toledo Quotes 

TOLEDO FAMOUS QUOTES & SAYINGS

やっぱり載ってない。

似た英語のフレーズを検索していたら格言や諺の代わりに「Saturday Night In Toledo Ohio」という歌が出てきた。

Toledo, Ohioはアメリカだけれど、toledo one day でマッチした部分の歌詞「You ask how I know of Toledo, Ohio? Well I spent a week there one day.」を見て確かに雑に読んだら似てなくも無いような気がしてくる。

この歌を聴いたせいで私の中のトレドフレーズは、70年代の学生時代を海外に憧れながら牧歌的な歌を聴いて育った世代が、就職して24時間働くせかせかした世の中で、半ばヤケクソになって作ったフレーズにどうしても聞こえてしまうようになってしまった。

それに迷わず行けっていう口調も、お酒飲めないなんて人生の半分損してるよって他人に対して余計な事を言いがちな日本人のセンスに合う気がする。

 

*1:私と同じ諺の存在に疑問を持った人はいるみたいで、トレドの周辺に住んでいる人に聞き込みまでして調査した書き込みがあったので参考までにリンクを載せておきます。(リンク:トレドの諺はどうやら実在しないらしい)

*2:因みに日本語でも英語でも頭に昔のスペイン人が言ったことになっているので、じゃあスペイン語で検索してやろうと探してみると「No has visto España hasta que veas Toledo. 」ぐらいしかヒットせず。。。(HiNativeという言語相談系のサイト)

 

2.スペイン人のダンスセンスについて

これは、トレドフレーズほど有名でない上に定型で聞いたことが無いのですが「足の動き重視のヨーロッパ風ダンス、手の動き重視の東アジア系、腰の動き重視のアフリカ系があるがスペイン人は全て同時に動かして踊ることが出来る」的な誉め言葉をたまに目にします。

たまに目にしてたらスペイン音楽のたしなみという本で、フレーズの出典元が書いてありこれはちょっと感動。

早速、出典元の「The Soul of Spain」(著:Ellis, Havelock)を探してみると確かに”178 THE SOUL OF SPAIN”の辺りに記述されていた。

(リンク:https://www.ebooksread.com/authors-eng/havelock-ellis/the-soul-of-spain-ill/page-11-the-soul-of-spain-ill.shtml)

実際に該当部分を読んでみると、手と腕の動き重視ダンスの例として東アジアと言うより正に日本が取り上げられていて、やっぱりそう見えるかーと納得。

確かに盆踊りに限らず現代人がやっているヲタ芸も腰から下を動かすのは下手糞っていう文化で、トレドフレーズと違ってなんだか説得力を感じてしまった。

(芸とダンスは違うけれど、ロマンスが片腕引くだけに簡素化されたのを考えるとやっぱり腰の動きは重視していないんだと思う。)

  

スペインの潜水艦の日記と同じく、今回も無駄な調べものばかりしていたら結局スペイン語よりも英語を読んでいる時間の方が長くなってしまった。

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